クローラーとタイヤの長所短所
出品されるローバーを見ると、様様な考え方があってかなり感心させられるものもある反面、もうちょっと方法があるんじゃあないかなと思ってしまうものもあります。
特に駆動方式の選択は、ローバーの性格を表す大事な選択になります。
そこで、代表的な駆動方式のクローラー(キャタピラ)方式とタイヤタイプ方式の違いを説明したいと考えました。
自分たちのグループがやりたいパフォーマンスによって、駆動方式を選べばかなり理想に近いローバーが作れると思います。

安定型のクローラーと
       高速型のタイヤ

クローラー(キャタピラ)の特長は安定の良さです。
左上図のように、履帯(ベルト)が地面と接している部分が広く、しっかりと支えます。
直線で支えることになるので、直進性も良くなります。
接地面積あたりにかかる重量が少ないことから、軟弱地盤でも走行が可能です。
建築機械(ブルドーザー・パワーシャベル)に多く使われるのはこのためです。

しかし、履帯を回転させて動くため、、履帯がたわんで外れる可能性があり、高速走行には不向きです。
タイヤに比べ大きな凸凹では、転倒する可能性が高いです

そのようなトラブルは、転輪(図では白色の○)の配置や履帯の張り調節などで調節していきます。
ただし、長時間の信地旋回(後述)は、故障の原因になることが多いので注意が必要です。

タイヤタイプの特長は、高速性と多様性です。
クローラーに比べ、スピード走行が可能です。
また、四輪駆動・六輪駆動など動力輪(モーターの付いたタイヤ)の数やレイアウトを自由に組替えることができます。
道路を走る車両のほとんどがタイヤタイプなのはそのためです。

ただし、クローラーに比べ接地面積が少ないため、
軟弱地走行の際タイヤが埋まったり、スリップをする可能性があります。

対策として、動力輪の数を増やしたり、タイヤ幅を広げるなどの方法があります。

今までの火星ローバーコンテストのレイアウトから考えると、クローラーよりもタイヤタイプのほうが全体のポテンシャルが高そうです。

有線(リモコン)の旋回方法

有線タイプの旋回は、左右のモーターを操作して行います。
タイヤタイプの無線操縦では、前輪を曲げるステアリングタイプの方式が取れますが、有線で行うことは難しいので、クローラー・タイヤタイプ共に同じ方式をとります。

一般的に、旋回方法は旋回と信地旋回に操作が分かれます。

旋回・・・・・・・・・・・・・片側モーター前進後退
             片側モーター停止
信地旋回・・・・・・・・・片側モーター前進
             片側モーター後退

信地旋回のほうが、回転の中心が車体中央になるので、回転半径は小さくなります。
ただし、クローラータイプの場合、回転する方向と逆の力が加わりやすいので、ベルト外れなどのトラブルの原因になりやすく、注意が必要です。

タイヤタイプでは、全輪に駆動(動力)が伝わっていないと、曲がりづらくなります。
二輪駆動の場合、動力の無いタイヤをキャスターにするなどの対策が必要ですが、技術コースの傾斜では、コントロールが難しくなる場合があります。

車幅と高さのバランス

左図ではタイヤタイプが例になっていますが、クローラーも同じです。

ローバーの車体にアームなどのパーツを取り付けた場合、重いものが上にあればあるほど横方向が不安定になり、傾斜での踏ん張りがきかず転倒することがあります。

図のAとBは車幅を変えた、車幅の広いAのほうが、Bに比べ倒れにくくなります。

ただし、タイヤタイプの場合、前後タイヤのシャフトからシャフトまでの長さより、横幅のほうが広い場合直進性が悪くなるので注意が必要です。

クローラーの凸乗り越え能力

クローラーもタイヤも原則的に前輪ホイル(タイヤ)の半径以上の凸を乗り越えることは難しい。

そこで、左図Bのように、下の部分を広れば乗り越え能力を上げることができます。

変形クローラー

ローバーの中には、Aのようなクローラーを取り付けて参加する選手を見かけます。
図のように上下に動かすことができるので、凸凹の
乗り越え能力を上げようと試みるチームがありました。

しかし、これには問題があります。
クローラーの回転の中心と動力輪(黒い●)が同じ軸なので、履帯が右回りに回った時、
クローラーの先端が上に上がって戻らなくなります。

Bのように動力軸と回転の中心が離れていれば、問題はないと考えられます。

六輪タイヤの走破能力

左上図は四輪全輪駆動のローバーが凸を上っていくのを図にしたものです。
前輪が駆動を失っても、後輪が押すことによって凸を上っていくことができます。
四輪全輪に駆動(力)がかけられるので、力強く上っていきます。
しかし、さらに高い切り立った段差では、前に書いたようにタイヤの半径以上 上るのは難しくなります。

さら大径のタイヤを付ければという考え方もありますが軸が細いとトルクによって曲がりやすくなったり、回転時にぶれてしまったりと問題が増えます。

そこで左中図のように、六輪全輪駆動の前2輪を連結し、絵のように動くようにすると、ひとつの大きなタイヤと同じ考え方になります。

このような形にすれば、回転の中心軸の部分が円の中心になり、さらに高いギャップを上らせることができます。

ただし、前・中輪の連結方法や、軸の作り方、それぞれのタイヤに付ける動力の取り付け方法などの問題を解決していかなければならない。
かなり高度な工作力が必要になってきます。